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「地域創生×探究」高校生と作り上げた’未来の教室’、リーダー大学生2人が3ヶ月間の苦悩と成長を語る! 〜前編〜

· 【インタビュー】

長野の坂城高等学校を舞台に、経済産業省の新たな教育プログラム「未来の教室」の実証実験がキックオフ。”問いのある人生を生きる”人間になることを目的に、高校1年生80人が3ヶ月の探求プロジェクトに取り組みました。(参考ページはこちら

そのプロジェクトを支えたのが高校生と二人三脚でプログラムを進めてきた大学生です。その中でも特にプログラムの枠組みを作り上げたリーダー大学生の二人、西條夢人くん(東京大学2年)と堺麻那さん(早稲田大学4年)に3ヶ月間の苦労や発見を聞きました。

インタビューは、前半に「変わっていく高校生の様子」について、後半に「新しい形の教育プロジェクト」について二部構成で配信します。一つのプログラムを巡る様々な葛藤を多角面から迫ります。

期待値ゼロむしろ不安、知らなかった高校生のポテンシャル

筆者:まず初めに、高校生の様子について伺いたいと思います。初めての取り組みで、いろいろ不安があったと思います。プログラムを進行していく上で、当初の心持から変わった部分はありましたか?

西條:大きく変わったのは、なんと言っても生徒たちへの印象です。最初は実は僕身構えていたんです、ネットでの情報を見て。言葉は悪いんですけど、「こういう子たち’でも’聞いてくれるのかな?真面目に取り組んでくれるのかな?」と不安でした。

西條夢人(リーダーの1人)

筆者:今回は60%以上の生徒が就職するなど、受験を意識しにくい環境の学校で行う実験的なプログラムだったんですよね。そこで熱量に差があるのではと心配だったということですか?

西條:そうです。だからどうやってアプローチしていけばいいかわかりませんでした。実際めっちゃやんちゃな子とかいたらどうしようとか(笑)

筆者:なるほど。その最初の印象はどのように変わっていったんですか?

西條:最初に印象が変わったのは、先生方とミーティングをした時です。先生方の熱量の大きさが、生徒への期待の大きさだとわかるのに時間はかかりませんでした。それだけ先生が生徒を信頼しているならば、このプログラムはいけるかもしれないと思いました。

筆者:生徒に会う前ですか?

西條:そうですね。ただやはり生徒と実際に顔合わせをしたときにもまた違う印象を持ちましたよ。先生方とのミーティングでポジティブなイメージを持ててはいたんですがやはり心配で。話を聞いてくれるか不安だったんですが、実際会ってみるとみんな大人しかったんです。がやがやする雰囲気もなく話を聞いてくれました。ただそこで気になったのがみんなの顔つきが似ていることです。

筆者:表情が同じということですか?

西條:無表情だったんです。やる気がないというか覇気がないというか。全体で話していても「届いているのかな?」と不安になるほどでした。だけど、休憩時間などに一人一人と話していると、結構笑顔になって話してくれたんです!だから「これはアプローチ次第で心を開いてくれるな」と確信すると同時に、「僕ができることは全部してあげなきゃ」という使命感が湧いてきました。

筆者:堺さんも同じような印象を持たれているようですが、生徒に対する気持ちに変化はありましたか?

堺:もちろんありました!最初は大学生も高校生もちぐはぐな感じで噛み合っていませんでした。だからこそ「よーし私がテコ入れするぞ」みたいな感じで意気込んでいましたが、日数を重ねても目覚ましい成果が見られなかったので焦りましたね。

堺麻那さん(リーダーの1人)

筆者:大学生と高校生との熱量に差があったということですか?

堺:そうですね。高校生にやる気があまり見られませんでした。「この大学生が進めてくれるし自分は特に能動的に動かなくてもいいや」と思っている感じでした。だからこそ大学生もやりにくさがあったんだと思います。

筆者:最終的には大学生と高校生との関係性ってとてもよくなったと前述いただきましたが、その契機はなんだったんですか?

堺:プログラム5回目(全6回)のオンライン授業ですね。彼らは第5回の2時間の間に、次回の発表に向けた準備を完成させなければいけませんでした。やることは主に7~8枚程度のスライド作りと原稿作り、発表練習です。ただ、この日終了の段階でどの班も原稿作りにまで手が回りきらない状況でした。高校生たちにとっては、人生で初めて人前で発表する機会なので原稿なしでは形になりません。

大学生メンターがオンラインで高校生とやりとりする様子

(大学生メンターがオンラインで高校生とやりとりする様子)

筆者:次の時間に発表を控えて原稿ができていないのはまずいですね。

堺:そうなんです。高校生もやっとそのことに気づいたのがこの時でした。しかも、いつも引っ張ってくれていた大学生はこの日は一緒にいてくれないし、「自分たちがやらなきゃ誰もやらない」状況に置かれていることに気づいたようでした。

筆者:そこから生徒たちのやる気が出てきたということですか?

堺:より能動的に動くようになりましたね。自分たちで考えて動くことに徐々に挑戦していったという感じです。さらによかったのが、Google ClassroomやGoogle スライドを用いて授業を行なったことです。高校生たちは一人一個ノートパソコンが支給されているんですが、私たちが思っているより「デジタルネイティブ」でした。

筆者:それらの機能を使うことに戸惑っている様子はありませんでしたか?

堺:そういう子ももちろんいました。だけど、各班に得意な子がいてその子が自然とリーダーシップをとっていました。自分で能動的に動く必要性に気づいたことと、デジタルの力を利用できたことが契機になったと思います。高校生のポテンシャルは果てしないと感じました。

高校生が放課後に作業をしている様子

「高校生の個性が見えた!」何かが変わった瞬間

筆者:5回目の授業が大きな契機になったようですが、生徒の表情は最初の無表情と比べてどのように変わったように見受けられましたか?

西條:1番の特徴は、顔に個性が現れてきたことです。僕が何回も通って顔を覚えた部分もあると思いますが、それ以上に彼らが僕らに対して心を開いてくれているなと感じました。そうすると不思議なことに最初はあんなに無個性だった高校生たちが、急に生き生きとした表情を向けてくれるようになったんです。

筆者:そうなった最も大きな要因はなんだと思いますか?

西條:んー環境の影響は大きいと思います。大学生や先生が高校生の可能性を信じて働きかけを続けていたことや、自分たちに機会が回ってきたことなど、自分を認めてもらえる環境に置かれたからだと思います。

筆者:自分の可能性を信じてくれる人が周りにいると頑張れるということですね。

西條:まったくその通りです。周りと比べて自分を低く評価してしまう、という子も今回のプログラムを通して「自分ができること」を肯定的に見つけられたんじゃないかなと思います。

筆者:大学生の方にも見られた変化などはありますか?

堺:必死になって生徒をサポートしようとする姿勢が前面に出るようになっていましたね。勤務時間外でも自主的にclassroomやスライドを見てコメント・アドバイスをしている大学生が何人もいました。

筆者:まさに大学生も高校生も共に成長したという感じなんですね。

堺:はい。私は今回はリーダーとして一歩引いて俯瞰して見る立場だったんですけど、大学生の表情を見ていて「私も班持ちたかったな~」と思っちゃいました(笑)でも、リーダーだったからこそ大学生や高校生を多角的に観察できました。全体的な成長をこの目で見られたのは最高の体験ですね。

後編へ続く

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